カテゴリ:随想( 14 )

2017年 07月 20日

Park  ・・・中野四季の森公園・・・

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Fuji X100F Fujinon 23mm f/2 ASPH



          --- わかれ ---


          少し明るい茶色の髪の毛を、真珠のような玉の飾りのついたシュシュで

    

          後ろに小さく一つに束ねたポニーテールが揺れる。

     

          小さく手を振る。


          乗る前に彼としっかり手を握りあい、少し微笑んだ。


          上野駅午後4時。

    

          握った手を離したくないように指と指が離れていく。


          彼女は、ドアのわきに、彼はホームに。


          ドアが閉まる前に、もう行って・・と彼女が言ったようだ。

     

          また二人小さく手を振り合う。


          彼は、少し躊躇してゆっくりと踵を返す。


          彼の後ろ姿が小さくなるまで、じっと目で彼の背中を追っている。


          階段の手前、ふと彼が振り返る。


          二人の表情は見えないが、きっと微笑んでいるに違いない。


          出発のベルが鳴る。


          また小さく手を振って、ドアが閉まった。


          彼女はボックスシートの僕の斜め前に座った。







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by peasantry | 2017-07-20 05:27 | 随想 | Trackback
2017年 05月 03日

Zebra   ・・・歩く・・・

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Leica SL (Typ601) Noctilux-M 50mm f/0.95


ーーー生きるとは何かーーー

調和した生活の安定が破られる危機は生涯のどの局面でもありえますが、

男性は青年期で、女性は中年期にくることが多いと言われています。

女性はこの時期、内分泌系の平衡が崩れて新しい平衡ができ上がるまで数年間、

自律神経系の嵐に見まわるという厄介な状況におかれるようです。

頭がほてり、手足の冷え、寝付きの悪さ、頭痛、首や肩の凝り・・

激しやすく、いらいらとものに当たり自分で自分を制御しにくい。

更年期には、あわせて心理的な危機が加わってきます。

四十から五十過ぎの年配の頃には、息子・娘はまず仕上がって家を出て行き、

夫は仕事に打ち込む壮年の頃になっている。

以前は、手狭で息苦しいほどだった家の中が、ガラリと空虚にかわり、

冷えた風が吹き通っている。

人は、向日性の群生動物だから、独り身は不向きです。

孤独の境涯は不向きで不安なのです。

それでも、男は一匹狼として暴れ回り悪戦苦闘することで

自分の存在の重みを感じることもいざとなればできるが、

多くの女性は、暖かな日ざしの中で、気心の知れた仲間と

連れ立って心をかわしながら暮らせたら・・

それが望ましい人生だと思っている。



ーー長くなるので続きはまた (島崎敏樹の文から)ーー











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by peasantry | 2017-05-03 06:58 | 随想 | Trackback
2016年 10月 17日

TESHIMA  ・・・豊島・・・

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Leica M (Type240) Summilux-M 35mm f/1.4 ASPH


どこまでも継ぎ目のない滑らかで真っ白なコンクリート。

緩やかに傾斜して、やがて床と接するコンクリートの屋根。

その微妙な凹凸に傾斜した床の上の小さな丸い玉の穴から溢れるひとしずくの水。

一粒の水滴が、二つ、三つ・・と合わさって、流れるのをじっとがまんする。

がまんの限度に達すると、水滴は自分の個性を主張する蛇となって動き出す。

蛇は、途中で止りながら、大きく成長するのをじっと・・待つ。

やがて成長した水の蛇は、一筋の流れとして走る。

然し、水の蛇はやがてより低地にある水の大海に飲み込まれてしまう。

飲み込まれた瞬間・・彼の個性と意思は跡形もなく消失し、大海の一部となる。

世の中にある、人と住処とまたかくのごとし・・

2016_10_11 瀬戸内「豊島」にて 無常を観ず・・・



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by peasantry | 2016-10-17 06:40 | 随想 | Trackback
2016年 10月 16日

On board   ・・・日本丸にて・・・

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Leica M (Type240) Summilux-M 50mm F1.4 ASPH


鍵盤の上を白くて長い指が走ると

青い水玉のような音の滴が空から落ちてくるようです。

時には大きく、時には細く、辺り一面に降り注ぎます。

日本丸の完璧なまでに調製された音響システムから音の滴が溢れる・・

船は、両舷半速前進。 

窓の外の瀬戸内の小さな島はゆっくりと後ろへ流れ、

ゆったりと流れる時の流れに、目を閉じて瞑想すると、

真っ白な心のキャンバスに青い小さな音が弾む。

ショパンの「別れのワルツ」が流れている・・







マーメードホール
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by peasantry | 2016-10-16 07:36 | 随想 | Trackback
2016年 09月 25日

River  ・・・川の流れに・・・

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EOS 5D Mark ll EF70-200mm f/2.8L IS ll USM


私の住んでいる町には「渡良瀬川」という大きな川が流れています。

川の流れを見ていつも覚えるのは、その不思議な感覚です。


絶えることのなく流れ去って行く川の動きが映しているものは、


いつだってじっとして動くことなく変わらない真上の空であるということ。


川の流れは、流れ去っていくと同時に、


みずから写すものをそこに残してゆきます。


絶えず変わり続けながら、少しも変わらないものが、川面の輝きの中にはあります。



川の流れをじっと見ていると、


いつもあれほど囚われている時間の狭い感覚が消えていることに気付きます。


よく、「流れ」という言葉は、「時の流れ」といったように、


過ぎ去るものの比喩として語られますが、それは違うかもしれません。


私たちにとって時をもつ意味は、ちょうど川の流れがそこに残して行く


一瞬の影像を見ることではないでしょうか。


決して絶えることなく流れ去っていく時の中に見る影像をしっかり心に留めておきたい。


ちょうど、きれいに晴れあがった日の川面のかがやきを見るように・・









・・・・本日15:00までです・・
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by peasantry | 2016-09-25 06:00 | 随想 | Trackback
2016年 09月 24日

Rain  ・・・雨の日の記憶・・・2

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EOS 5D Mark lV EF135mm f/2L USM


自分とほとんど関係のない人は「彼ら」と呼び、

その意思伝達はちょっと大きな声で「みなさ〜ん」と叫びます。

その彼らの中から一人を選んで、「あなた」という関係ができます。

自分の前に向かい合って座り、その会話は大声を張り上げなくても、

適度の大きさで通じるわけです。お互いにコミュニケーションを取り合います。

その関係が、さらに親密になると「つれ」という関係になります。

ポジションは向かい合わせでなく、隣です。

つまり、ふたりは同じ方向を向いて、未来に向かって歩くという関係です。

その意思伝達はあまり必要でなく、声も「ささやき」となります。

この「ささやき」の関係が出来上がると、

雨降りの日でも、傘をさしても、多少肩が濡れても、手をつないで・・

水たまりも苦にせず、歩いていくことができます。

あなたには「ささやき」の関係になっている人がいますか・・・?













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by peasantry | 2016-09-24 06:38 | 随想 | Trackback
2016年 09月 23日

Rain   ・・・雨の日の記憶・・・

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EOS 5D Mark lV EF135mm f/2L USM


雨は人の記憶を定着させる強い働きがあると思ってる。

晴れた日の出来事よりも、雨の日の出来事の方が

より鮮明な記憶となって残っている気がする。

車を運転していても、雨の交差点を右折した記憶とか、

その時に流していた音楽とか・・

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傘をさして道を歩いていても、

あそこの交番の前を通ったとか、

水たまりを除けながらもちょっと楽しい気分だったとか、

鮮やかな記憶として、人の頭に、胸に、心に

降っている雨の情景と共に焼き付くのだ。









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by peasantry | 2016-09-23 05:09 | 随想 | Trackback
2015年 06月 06日

At the Station ・・・上野駅にて・・・

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Leica M (Type240) Noctilux-M 50mm f/0.95
(随想)

ーーー 色即是空 ーーー

人の意識は現象に伴い変化するが、実質的には現象は何ら変化しておらず実態は不変である。

現象は「色」実態の不変は「空」・・


意識は行動が止められ、生活が妨げられてはじめて発生するものである。

満ち足りた生活の中で安らっている人には意識は生まれにくい。

もし、初めから完全に自由な生活に浸っている人に向かって「自由の感」をたずねたとしたら、

この人は返答に困るに違いない。

自由の意識は人間が一旦不自由になって、束縛の状態に身を置いてはじめて生まれるものだからである。

行動の自由の阻止を通して自由とは何か・・を知るのである。













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by peasantry | 2015-06-06 07:07 | 随想 | Trackback
2015年 03月 23日

Breath of spring・・・春の息吹・・・

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EOS 5D Mark lll EF11-24mm f/4L USM


-- 春の息吹 --

春の息吹きを感じ始めてから、その春を確かに実感できるまで、


季節の移ろいはけっして単調なものではない。


雪解けの気配、雪崩、春雷、余寒、春一番、時ならぬ淡雪、初夏を思わせる暑さ、花冷え、晩霜。


そういった変化を織り交ぜながら一進一退を繰り返すのである。


春という言葉からなんとなく連想されるような穏やかな日々は実際には却って少ないといえる。


むしろその不安定さこそが春の特質なのかもしれない。


その中にあって、あらゆる生き物は忙しい日々を迎える。


冬の静寂と比べて、それはなんという大きな違いであろうか。


春はまた、森林の樹木にとっても哀歓こもごもの季節である。





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by peasantry | 2015-03-23 07:06 | 随想 | Trackback
2015年 01月 28日

ASAKUSA  ・・・夜の浅草寺・・・

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Leica M (Type240) Summilux-M 24mm F1.4 ASPH


ーーー 折にふれて思うこと ーーー

東京への電車旅は片道約1時間30分。

大概は、電子書籍を読んだり音楽を聴いたり。

朝聴くのはクラシックが多いのですが、

Beethovenのピアノコンチェルトが好きです。

5つの曲のどれも第2楽章が好きです。

だいたいラルゴやアダージョ系統の緩やかな旋律ですね。

特に第5番「皇帝」の第2楽章は秀逸で、

静かにオーケストラの導入があり、ピアノが絶妙のタイミングで入ってくる。

オーケストラの導入から、ここしかない・・というところで

心に染み入るタッチで心の琴線をそっと優しくくすぐられます。

このピアノの流れを聴いていると、眼の前が真っ白になって

もう何も聞こえず、何も考えられずただひたすら

鍵盤の上を軽やかに、しかし確実に奏でる指先が見えるようです。

静かな夜のしじまに、昼間落ちた雨の雫が

月の光に少し輝いて、やがて耐えきれなくなってポツンと落ちる一滴

この楽章のそんな音の流れのような写真を撮ってみたいと思うのですが・・




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by peasantry | 2015-01-28 07:35 | 随想 | Trackback